日本語 / B2
木の祭り
野原の真ん中に、一本の木がぽつんと立っていた。木には白く美しい花がいっぱいに咲いていた。自分の姿がこんなに美しくなったことがうれしくてたまらなかったが、誰も「美しいなあ」とほめてはくれない。めったに人の通らない場所に立っていたので、木はつまらなく思っていた。
やわらかな風が、木のすぐそばを流れていった。その風に花の香りが乗り、小川を渡り、麦畑を越え、崖を下って、じゃがいも畑にまで届いた。
葉の上に止まっていたちょうが、「おや、なんてよいにおいでしょう」と言った。別の葉にいたちょうは、きっと野原の真ん中のあの木に花が咲いたのだと言った。ほかのちょうたちも、次々に心地よい香りに気づいた。
花の香りが大好きなちょうたちは、こんなによいにおいをそのままにしてはおけなかった。みんなで相談し、木を訪ねてお祭りをしてあげることにした。
羽に模様のある一番大きなちょうを先頭に、白や黄色、枯れ葉のような色をしたものまで、さまざまなちょうが飛んでいった。香りの流れてくる方へ向かい、崖を上り、麦畑を越え、小川を渡っていく。
ところが、一番小さなちょうは羽の力が弱く、小川のほとりで休むことになった。水草の葉に止まっていると、隣の葉の裏に、見知らぬ虫がうとうとしているのに気づいた。
「あなたは誰?」と尋ねると、虫は目を覚まして、「ほたるです」と答えた。
小さなちょうは、野原の木でお祭りがあるから一緒に来るよう誘った。
「でも、私は夜の虫だから、みんな仲間にしてくれないでしょう」
ほたるがそう言うと、ちょうはそんなことはないと勧め、とうとう連れていった。
木のお祭りは楽しかった。ちょうたちは、大きな雪のように木のまわりを飛び交った。疲れたら白い花に止まり、甘い蜜をおなかいっぱいごちそうになった。
しかし、やがて夕方が近づき、光が薄くなってきた。みんなはため息をついた。
「もっと遊んでいたい。だけど、もうすぐ真っ暗になるから」
すると、ほたるが小川の方へ飛んでいき、大勢の仲間を連れてきた。ほたるたちは、それぞれ一つの花の中に止まった。木には小さな明かりがいっぱいともったようになった。
ちょうたちはたいへん喜び、お祭りは夜遅くまで続いた。
English summary · includes the ending
A lonely tree stands in a field where few people pass. Its beautiful white flowers make it happy, but nobody comes to admire them. The wind carries their scent across the countryside to a field full of butterflies.
The butterflies decide to visit and hold a festival for the tree. On the journey, the smallest butterfly must rest beside a stream because its wings are weak. It finds a firefly and invites it along. The firefly worries that a night insect will not be welcome, but the butterfly persuades it to come.
The butterflies enjoy flying around the tree and feeding on the flowers. As evening approaches, they regret that darkness will soon end their games.
The firefly returns to the stream and brings many companions. Each settles inside a flower, turning the tree into a display of tiny lights. The delighted butterflies can now keep playing until late at night.
Adapted for Lejrbål from the credited source.
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